鶴岡市の山間部に位置する一露地区(旧・温海町一霞)........その地で400年の昔から、焼畑農業によって守られ伝承され作られてきた「焼畑あつみかぶ」。その農法は、杉の伐採跡地を利用し、(数十年にわたる杉の植栽により、腐葉土が蓄えられ、天然ミネラルが豊富な、化学肥料を必要としない土壌)無肥料・無農薬の伝統的な焼畑農業から育まれた「焼畑あつみかぶ」ができるまでをご紹介します。

焼畑あつみかぶの焼畑栽培方法

焼畑あつみかぶは、水はけのよい傾斜地で栽培されています。特に杉伐採地は、長い年月に蓄積された腐葉土が豊富で、きつい山の斜面は水はけがよく、温海かぶの栽培に適しています。畑栽培地は、このような山あいにある東向きの場所で多く見られます。この伐採地は周りの山から見ても高いところにあることがうかがえます。
草払い(草刈)
7月中旬頃から草払い作業が始まります。刈り払った草は3週間ほど天日で乾燥させます。乾燥した枯れ草、杉枝などを焼くと灰になり、その灰が肥料になります。周囲にある木の枝など燃えやすいものを取り除き防火帯をつくり、山火事防止対策にも注意を払います。

8月10日前後の風がほとんど吹いていない好天の日を選んで焼畑は行われます。焼畑は、山の斜面を焼くことから、地域では「山焼き」とも呼んでいます。焼畑は真夏の過酷な作業。燃え残りがないように火を入れていきます。滝のように汗が流れ落ちます。トラックには消火用の動力ポンプ等を備え、火が漏れないよう細心の注意を払います。山の上から下へと火を下ろし、ゆっくり焼いていきます。下から火を入れると一気に燃え上がり、山火事になる恐れがあるからです。

焼畑ほ場
山焼き終了後のほ場。
焼畑栽培は、刈り払った草や木の枝などを乾燥させて燃やし、焼け後の灰で栽培します。焼畑は、次の植林を行うための地ごしらえの役割を果たしています。自然にやさしい資源循環型の農法とも言えるでしょう。
地ならし
種まきの前に、燃え残った木の枝などはひとつ一つ丁寧に取り除いて地ならしを行います。急傾斜地であることがよくわかります。白く見えるのが焼いたあとに残った灰。この灰が自然の肥料になります。

土はまだ熱い状態ですが、手際よくまんべんなく種をまきます。種は直径1㎜ほどで、ごま粒よりも小さな粒です。

生育状況(は種後10日目)葉全体の大きさは3㎝ほどなります。その後30日頃には、15㎝ほどの茎丈に生長しましたが、まだ根部にかぶは形成されていません。灰に覆われていた焼畑は、一面があざやかな緑の葉へと姿を変えます。
この頃に、草取りや間引きします。かぶの規格(サイズ)や品質の良いかぶを収穫するための大切な作業です。は種後45日目、ようやくピンポン玉よりも少し大きい直径5㎝ほどに....焼畑あつみかぶの赤ちゃんが顔を覗かせます。

10月上旬~、は種後60日ほどの焼畑あつみかぶ....いよいよ収穫の時期を迎えます。
かぶは10㎝ほどに生長しています。傾斜がきついため、転げ落ちないように這うような姿勢で作業を行います。大きくなったかぶから順次収穫し、雪が降る頃(12月)まで続きます。
細くす~っと伸びた根は温海かぶの特長の一つです。
かぶの茎をつかんで引き抜いて収穫します。
収穫されたかぶは、丁寧に水洗いをし、私たちが目にしているあざやかな赤紫色と平べったい形の見事な温海かぶとして出荷されます。
このように焼畑あつみかぶは、栽培農家が炭と灰、土にまみれながら、丹精こめて育てられています。

かぶは、全て収穫するわけではありません。その年に大きくならなかったかぶは、そのまま残しておきます。冬を越え、季節は春...4〜5月にかけて、きれいな可愛らしい黄色い花を咲かせます。
この黄色い花が、温海かぶの花です。花が枯れる頃、かぶの種を取り、お盆過ぎに行われる次のかぶの栽培に使います。このように焼畑農業「焼畑あつみかぶ」は、自然の循環作用を生かしながら約400年という長い間培われてきました。春香る季節、山一面に咲いた黄色い花たちの美しさは、頑なに守り続けてきた無農薬・無肥料の自然農法が育んだ食の大切さを、先人たちの想いとその想いをこれまで大切に守ってきた生産者の方々の想いをのせて、春風とともに私たちに届けてくれているのかもしれません。

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